誰が、どういう理由で。

誰が、どういう理由で引き起こし、放置していたのか。

<化血研、国の承認外でのワクチン製造が新たに判明>

http://www.asahi.com/articles/ASJB4734BJB4UBQU01J.html

化学及(および)血清療法研究所(化血研熊本市)が国の承認と一部異なる方法で日本脳炎ワクチンを製造していたとして、厚生労働省は4日、経緯を調査して結果を報告するよう化血研に命じた。9月の抜き打ちの立ち入り調査で確認した。弁明書の提出を受け、業務改善命令を出す方針。品質や安全性に問題はないという。

化血研は約40年にわたり血液製剤を不正製造、組織的な隠蔽(いんぺい)をし、過去最長の110日の業務停止命令を今年1月に受けたばかり。

 厚労省によると、今年8月、化血研から日本脳炎ワクチンの製造で軽微な齟齬(そご)があると報告があり、調べたところ、承認書と違い、一部でウイルスを不活化していない原料を使っていたことを確認したという。>

1月の業務停止命令が出た時点で、これは異常だと誰も思わなかったのだろうか。安全性は問題はないというが、ではどうして承認書に書かれた製造工程を守らなかったのか。もしくは、国に承認された以外のプロトコールに従わなければいけないことは、過剰な規制なのか。今回の発覚は化血研側からの指摘で見つかったらしいので、内部での危機意識はあったのかもしれない。

分野は違うが、奥底でつながるものがあると感じる。

<「メルトダウン隠蔽」は東電にとどまらぬ日本の組織の意思決定に関係 うやむやを生む忖度文化>

http://www.sankei.com/column/news/161004/clm1610040007-n1.html

「空気」は、故山本七平氏が日本社会をとらえるキーワードとして指摘したものだ。論理による判断というより「空気がゆるさない」という雰囲気による判断が優先することである。たしかに、日本の組織成員はまわりの空気を読むことが必須条件である。空気を読まない者はKYとして浮いてしまう。このような「空気の拘束」は、他者の意向を察して、気遣いする日本人の美質からきているが、それが強い組織文化となると「うちの会社ではそんな話を持ち出せる空気じゃありませんよ」と弊害を及ぼすことにもなる。

以前発覚した約40年続く(法律的)不正を抱えていた組織である。何らかの隠蔽の「空気」があっただろう。すると、今回の日本脳炎ウイルスの事件が自発的に発見したことは、「空気の拘束」を脱することができた人間が存在したことを意味する。

尻切れトンボのような検証委員会の報告書は、深追いしないという日本人のある意味の美質によるのかもしれない。しかし、察する文化が空気による支配になるように、深追いしないことによって無責任の体制は続く。

厚労省、第三者機関に化血研の意思決定システム、承認以外の製造工程を続ける理由を徹底的に究明していただきたい。